
関口 浩二(せきぐち こうじ)
株式会社ワンダフルクリーン ビルメンテナンス事業推進部 部長
1976年、富山県生まれ。大学進学を機に上京し、学生時代に清掃会社ワンダフルクリーンでのアルバイトを経験。その後、全国展開するサービス企業に就職し、店長職として14年間にわたり店舗運営や人材育成に携わる。40代を前に「新しい挑戦」を志し、原点であるワンダフルクリーンへ転職。現在はビルメンテナンス事業の立ち上げと拡大を担う。地域社会とのつながりを重視し、東京経済大学との連携や子ども食堂の協賛、読売ジャイアンツ球場、ジャイアンツタウンスタジアムや立川アスレティックFCへのスポンサー活動にも取り組む。自らもフットサルに親しみ、現場にも足を運びながら“応援するから応援される”を信条に挑戦を続けている。
アルバイトで気づいた自分の喜び
1976年、富山県に生まれた関口浩二。自然に囲まれた環境でのびのびと育った少年は、やがて東京の大学に進学し、人生の大きな転機を迎える。
「学費や生活費の足しにと、大学の近くでアルバイトを探していたんです。たまたま見つけたのが、清掃の会社でした。現場に行って掃除をするという、シンプルだけど面白そうな仕事でした。」
その会社こそが、ワンダフルクリーンだった。
大学生が多く働いていた現場は、活気があって自由な空気に満ちていた。掃除をしてキレイになった空間を見て、お客様が喜ぶ姿を見る。その繰り返しが、関口の心に小さな火を灯していた。
「掃除って、ただの作業じゃないんだなと思いました。“人のためになる”っていう実感が、そこにあったんです。」
アルバイトを終えた後も、当時の仲間や社員と細く長く連絡を取り続けた。ふとした食事会や、年賀状のやりとり。その小さなつながりが、10年以上の時を経て、彼の人生を再び動かすとは、当時は想像もしていなかった。
店長としての14年間、そして決断のとき

卒業後、関口は全国展開するサービス業に就職。接客業の最前線で、さまざまな現場を経験した。
店長としての職務は多岐にわたり、顧客対応からスタッフの教育、シフト管理、売上管理まで、一つの店舗を背負って立つ責任を肌で感じた。
「目の前のお客さんを笑顔にする。それは大学時代に感じた喜びと同じ感覚でした。どれだけ準備しても思うようにいかないこともありましたが、現場での経験はすべて、自分の糧になっていると思います。」
しかし14年目を迎えた頃、関口の心に、ある種の“うずき”が生まれる。
——このままのキャリアで本当にいいのか?
——もっと誰かの役に立てる仕事が、他にもあるんじゃないか?
「40歳目前でした。自分にしかできないことって何だろうって、真剣に考えるようになって。そんなとき、ふと頭に浮かんだのが、大学時代に働いていたワンダフルクリーンだったんです。」
当時の社員に連絡を取り、話を聞きに行った。
変わらないあたたかな空気と、新たなステージに進化した会社の姿に、心が動いた。
「“ここでもう一度やってみたい”って、素直に思えたんです。」
挑戦のステージ、ワンダフルクリーンで再出発
ワンダフルクリーンは、ハウスクリーニングからスタートし、一昨年2023年には創業35年を迎えた。
「一掃」という言葉を掲げ、住宅やビル、商業施設などあらゆる空間の清掃・管理・除菌・リフォームまでを手がける清潔のプロフェッショナル集団だ。
関口は入社後、新規営業で成果を上げ、やがてビルメンテナンス事業を立ち上げる責任者を任されるようになった。
「掃除って、表には出にくい仕事かもしれないけれど、“誰かの快適”を支えるすごく重要な仕事だと思っています。
キレイにして、お客様が笑顔になる瞬間。それが自分たちのやりがいなんです。」
清掃には、効率だけではない“心”が必要だ。関口はそう信じている。
コロナ禍での苦境、そして突破口
2020年、世界を襲った新型コロナウイルスは、同社にとっても大きな試練となった。
当時の主力事業だったアミューズメント施設の清掃は、「遊び=不謹慎」という世間の風潮の中で、次々と仕事が止まっていった。
「やばいな、とは思いました。でも“どうにかなる”とも思ってたんです。何もせずに止まっていたら、そこで終わってしまうから。」
部署の枠を超えて、営業も現場も総出で仕事を探した。テレアポを繰り返し、あらゆる業種に連絡を入れた。
「その時に見つけたのが、“除菌作業”というニーズでした。」
営業できなくなった店舗は掃除の必要がない。しかし、感染者が出た施設を安全な空間に戻す「除菌」には、高度な清掃技術と判断力が必要だった。
「自分たちは、“掃除屋”じゃない。“清潔のプロ”なんだって気づかされました。」
その気づきが、会社の新たな強みとなり、ピンチをチャンスに変えた。
地域とともに、企業としての挑戦
その後、ワンダフルクリーンは地域との関係性を深めていく。
本社のある東京・国分寺エリアでは、東京経済大学の学生を積極的に採用し、働く場を提供。文化祭や部活動の支援も行っている。
「会社が元気であることって、それだけで地域の力になると思うんです。
自分たちの仕事が“街の笑顔”につながっている実感は、何ものにも代えがたいですね。」
応援するから、応援される

企業の責任は、経済だけではない。文化やスポーツを支えることもその一つ。
ワンダフルクリーンでは、読売ジャイアンツファームの本拠地・ジャイアンツタウンスタジアムに広告協賛するなど、スポーツ支援も積極的に行っている。
中でも関口自身が深く関わるのが、Fリーグ所属のフットサルクラブ「立川アスレティックFC」だ。
「最初は会社がスポンサーになったから“どんなもんか”くらいの気持ちで試合を観に行ったんです。
でも、実際に見たら、すごく面白くて。プレースピードも早いし、戦略も深い。気づいたらハマってました(笑)」
今では家族を連れて観戦に通い、自らもチーム主催のフットサルゲーム会に毎月参加する。
「スポンサーって一方的なものじゃないと思うんです。応援していると、逆にこっちが元気をもらえる。
その繰り返しが“つながり”を生むんだと思います。」
これからも、“誰かのために一掃を”

関口の目指すビジョンは明確だ。
——会社の事業で、地域社会に貢献すること。
——パートナーや顧客にとって“意味のある提案”を届けること。
——そして、自分自身が働くことで、社会に喜びを循環させること。
「派手な仕事じゃないですけど、“キレイにする”って、世の中に必要とされているって信じてます。
一掃することで誰かの背中を押せるなら、それが自分の挑戦の意味だと思っています。」
日々の仕事の中に、誇りと挑戦を忘れずに。
関口浩二とワンダフルクリーンの物語は、今日もまた、新たな一歩を踏み出している。