
本村 隆馬(もとむら りゅうま)
株式会社SATSUZEN 代表取締役社長/一般社団法人全日本サッセン協会 会長
1990年、福岡県北九州市生まれ。父親が運営する空手道場で育ち、幼少期から武道に親しむ。甲南大学マネジメント創造学部卒業後、一般企業での勤務と並行し、空手の師範代として子どもたちへの指導にも従事。その後、デジタルと武道を融合した次世代スポーツ「SASSEN(サッセン)」を共同開発。一般社団法人全日本サッセン協会を設立し、全国への普及活動を進める。スポーツデザイナーとして他競技との連携も行いながら、新たなスポーツ文化の創出に取り組んでいる。
空手少年が起業家へ。ルーツは父の道場にあった

本村隆馬は、福岡県北九州市で生まれ育った。父が主宰する空手道場で幼少期から稽古に励み、気づけば生活の中心には常に空手があった。中学、高校とスポーツに親しみながらも、大学卒業後は一般企業へ就職。イベント系の営業職や医療事務として働きながらも、道場での師範代というもう一つの顔を持ち続けていた。
そんな中、ある日父の道場で行っていた護身術のトレーニングを、より楽しく、より広く届ける方法はないかと考えたことが転機となる。筑波大学発のITベンチャーである鋤先星汰との出会いにより、ITと武道を融合させた次世代型のスポーツが構想され、それがSASSENの原点となった。
新時代のチャンバラ──サッセンというスポーツ

SASSENは、発泡ポリエチレン製の刀を使って1対1で戦うデジタルチャンバラ。約70cmの刀にはセンサーが内蔵されており、攻撃が命中した瞬間を専用アプリが正確に判定する。頭部以外に当てると「一本」となり、二本先取か、60秒間の試合時間内で多くのポイントを取った方が勝者となる。
ルールは非常にシンプルだが、攻撃は一人5回までという制限があることで、瞬時の判断や駆け引き、戦略性が求められる。大人と子ども、男女の区別なく、体力に左右されず勝敗を争えるのが特徴だ。さらには、一撃必殺のレインボーモードなどもあり、エンタメ性や頭脳戦で勝てる要素も兼ね備えている。
この設計には、本村の空手経験が活きている。空手では判定の不公平さを感じることも少なくない。正しく当てたのに負けた。子どもたちにそんな思いをさせたくない。そういった悔しさを、自らの原動力として昇華し、ITの力で公平な競技環境を生み出した。
全国大会開催。1万人規模の競技人口へ
2025年1月には、第三回SASSEN全国大会を開催。これまでに累計で1万人以上が参加し、子どもから高齢者、さらには企業や自治体にも広がっている。

特に注目を集めたのが、立川市の公立中学校で開催された2日間の体験会と大会。450名を超える生徒が参加し、真剣勝負のスリルと笑顔が溢れるイベントとなった。また、企業の研修やチームビルディングとしても導入されており、SASSENはレクリエーションや教育の場としても可能性を広げている。
Cyber KASSENへ。進化するSASSENのかたち

本村の挑戦はここで終わらない。SASSENを1対1の戦いから複数名による団体戦へと進化させた「Cyber KASSEN」が誕生した。
Cyber KASSENは、相手の腕に装着されたデジタル端末を柔らかい刀で狙い、Wi-Fiやモバイル通信を通じてリアルタイムでスコアを記録できるスポーツだ。校舎やビル、市街地などをフィールドに見立て、集団戦やイベント型の展開も可能。サイバーと武道の融合は、まったく新しいエンターテインメントへと進化を遂げている。
今後は教育機関や自治体、企業など多様な場所での活用を視野に入れており、まさに社会と繋がるスポーツとしての新しい可能性を秘めている。
スポーツの未来を創る。挑戦は続く

本村は今、実家の空手道場を運営しながら、SASSENを生涯スポーツとして広げるために奔走している。1人の空手家として、また1人の起業家として、スポーツが持つ力を信じている。
ルールが簡単で、誰でも楽しめる。だけど、奥が深く、極めがいもある。SASSENは、そんなスポーツだ。
ITの力でスポーツに公平性と戦略性をもたらす。その先にあるのは、勝ち負けだけでない、誰もが自分らしく挑戦できる場所。SASSENというスポーツは、ただの遊びではない。本村隆馬が描く未来は、すべての人に開かれた、共創のフィールドだ。
一般社団法人 全日本サッセン協会 / Cyber KASSEN サイバーカッセン