大和地亮太（やまとぢ・りょうた）
1993年神奈川県横浜市生まれ。中学から大学までテニスに熱中し、大学在学中にフレスコボールと出会う。国内外の大会で活躍し、2016年に日本代表初選出、2019年にはブラジルでの世界大会で3位入賞。現在は日本代表として活動を続ける。2022年、競技パートナーだった未沙子と結婚。
大和地未沙子（やまとぢ・みさこ）
東京都出身。子どもの頃から運動好きで、水族館への憧れからアシカのトレーナーとして働く。2018年、ビーチスポーツイベントでフレスコボールと出会い競技に没頭。仕事を変えながら競技と向き合い、2023年から日本代表に。亮太と夫婦でブラジルを目指している。
フレスコボールが結んだ二人の縁と挑戦
フレスコボールと出会い、人生が変わった――そう語るのは、大和地亮太・未沙子夫妻だ。
テニスから転向し、ブラジル発祥のこのビーチスポーツにのめり込んだ亮太。相手を打ち負かすのではなく、パートナーと協力して長く正確なラリーを続けるという考え方に強く惹かれた。
一方、未沙子はアシカのトレーナーというユニークな経歴を持ちながらも、週末を競技に捧げるほどフレスコボールに夢中になった。そして競技パートナーとして出会った2人は、やがて公私にわたるパートナーとなった。
共に成長する、夫婦ならではの競技スタイル
フレスコボールはただ打ち返すだけではない。パートナーの打ちやすい場所へ返す、ラリーを続ける、強く正確なボールを打つ、それらすべてが評価の対象となる採点競技だ。
だからこそ、信頼や呼吸、コンビネーションが必要とされる。家庭と競技を共にする2人は、日々の中で築いた関係性を武器に、世界と戦っている。
お互いの強みを引き出す。相手の弱さも包み込む。そうした姿勢は競技だけでなく、夫婦生活そのものにも通じている。
フレスコボールを支える日々の努力と支援者の存在
フレスコボールは、専用の競技施設や高額な用具が必要ない、比較的ハードルの低い競技かもしれない。練習場所は主にビーチ。ラケットは手頃で、1本を数ヶ月から数年使い続ける選手もいれば、技術に応じてラケットを変えていく選手もいる。
しかし、全国各地で開催される大会に出場するためには、移動費や宿泊費などの負担は避けられない。例えば2025年のツアーは、沖縄、福岡、岩手、兵庫と首都圏からの遠征が続き、移動や宿泊など1回の遠征で5万円を超えることも多い。
また、体のメンテナンスのためのジム通いやケアも欠かせない。平日は仕事、夜はトレーニングやメンテナンス、週末は練習や大会という生活が続く。
それでも、彼らは自らWEBサイトを立ち上げ、SNSで活動を発信し、支援者を募った。少しずつスポンサーやサプライヤーが増え、自分たちの活動を応援してくれる仲間が増えていった。
Find-FC、アスカツとの出会いが広げた可能性
特に転機となったのは、アスリート支援プラットフォーム「Find-FC」「アスカツ」との出会いだ。運営するKプロデュースの吉沢代表の想いと仕組みに共感し、このサービスを通じて企業からの支援を受けられるようになった。
亮太は、「競技に集中できる環境を整えてくださった皆さんへの感謝は尽きない」と語る。大会での活躍を報告すると、まるで自分のことのように喜んでくれる支援者の存在が、何よりの力になる。
未沙子もまた、「夫婦で活動しているからこそ、応援してもらいやすい面もある」と話す。共に競技に取り組み、共に代表として戦う姿勢が、多くの共感を呼んでいる。
アーティストとのつながりが生んだ化学反応
さらに印象的なのは、好きなアーティストとの出会いが競技のモチベーションにつながっていることだ。
未沙子が以前から大ファンだったアーティスト・Ryu Ambe氏の作品に惹かれ、湘南という共通の土地をきっかけにInstagramでDMを送ったところ、なんとコラボが実現。彼の描く象徴的な太陽のイラストを、2人のチームウェアにデザインとして取り入れることができた。
試合会場にも足を運んでくれるAmbe氏の存在は、2人にとって特別な励みになっている。
思いやりの輪を広げながら、世界へ挑む
2025年のJAPAN TOURでは年間最優秀ペアとMVPに輝いた大和地夫妻。実績としてのタイトルも手にしながら、彼らは決して現状に満足しない。
支えてくれる人々への感謝とともに、より高みを目指して、フレスコボールという競技の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと願っている。
思いやりをベースにしたスポーツが、こうして人と人をつなげ、新しい挑戦の場を生み出している。
これからも2人三脚で、世界へ挑み続ける。
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