
淺井 絵里香(あさい えりか)
2002年8月29日、静岡県富士市生まれ。小学3年生でサッカーを始め、男子チームや女子チームを掛け持ちしながらプレーを重ねる。中学から高校までは東海大学付属静岡翔洋に進学。静岡産業大学女子サッカー部ではGKとして活躍した。大学卒業後、NISHISATOアローレレディースに加入し、FWに転向。現在は株式会社NISHI SATOのデジタルコマース事業部に勤務しながら、サッカーと仕事を両立させる毎日を送っている。キャンプインストラクターの資格を取得済み。現在はアスリートフードマイスターや食品衛生管理者などの資格取得にも挑戦中。
サッカーとの出会いは、仲間からの一言だった

淺井がサッカーを始めたのは、小学校3年生のある日のこと。休み時間はいつも男子と外で遊んでいて、ある日その子たちから“俺らがいるサッカーチームに入らない?”と誘われたのがきっかけだった。体験に行ったその日から、サッカーの虜になった。
最初は男子のクラブチームに所属。加えて、小学生から大人までが混ざって活動する女子チーム、さらに女子小学生のチームにも加わり、3つのチームを掛け持ちしていたという。年齢や性別の違いを超えた環境での経験は、彼女のプレースタイルや人間関係のベースとなった。
中高一貫の強豪校へ 厳しさのなかにあった学び
小学6年生のとき、練習試合を通して東海大学付属静岡翔洋の監督に声をかけられ、同校への進学が決まった。自宅のある富士市から清水までは毎日バス通学。練習と学業の両立は想像以上に厳しかったという。
週に数回ある「朝学」と呼ばれるテストに合格しないと練習には参加できない。勉強も手を抜けない中、走り込みや技術練習に全力で取り組んだ。中学3年の全国大会出場を果たした直後に骨折し、大会本番には出られなかった悔しさも糧となっている。
コロナ禍と向き合った高校時代 変化したサッカーへの思い
高校もそのまま翔洋へ進学。だがその時期は、新型コロナウイルスの影響で活動が大きく制限された。外部からの練習参加が禁止され、寮生以外は練習も制限される日々。通学もままならず、サッカーが遠く感じた時期だった。
それでも「好きなコーチがいたから練習が楽しかった」と語る。サッカーが制限されるからこそ、「もっと上手くなりたい、強くなりたい」という想いが膨らんでいった。
進学先で見つけた、自分を広げるという選択肢

大学は静岡産業大学に進学。教員免許の取得も視野に入れつつ、女子サッカー部での活動を続けた。サッカー一筋だった彼女が、新たに興味を持ったのが資格取得だった。
「自分の視野を広げたかった」と、大学在学中にキャンプインストラクターの資格を取得。9日間の共同生活の中で、人見知りの自分を乗り越えるような経験を得たという。現在も、アスリートフードマイスターや食品衛生管理者といった資格の勉強を続けている。
キーパーからフィールドへ 自分で選んだ再出発

中学から大学まで、ずっとゴールキーパーだった淺井。何度も「フィールドでやりたい」と申し出たが、監督たちには「背が高いし運動能力もあるからキーパーでお願い」と言われ続けた。大学卒業後、ようやくフィールドプレーヤーとしての道を選び、NISHISATOアローレレディースに加入した。
新しいポジションへの挑戦に不安はあったが、「やらなかったら後悔する」と思い、一歩を踏み出した。今はまだ自分の理想には遠いが、地道に努力を重ね、成長を実感している。
サッカーと仕事、ふたつの責任と向き合う

現在は株式会社NISHISATOのデジタルコマース事業部に勤務。ECサイトの運営や商品の管理などを担当し、朝9時から夕方5時まで働いている。練習は夜8時から10時まで。体力的には厳しいが、仲間とプレーする時間が何よりも楽しい。
「仕事もサッカーも、どちらも中途半端にはしたくない。どちらかを言い訳にしたくないから、ちゃんと向き合っていたいんです」
職場の仲間が試合を観に来てくれることもあり、応援してもらえる環境が日々の原動力になっている。
自分の可能性を広げるために
淺井の目標は、今後も自分の価値を広げていくこと。そのために、資格取得や新しい分野への挑戦を続けている。
「サッカーを辞める日がいつか来るかもしれないけれど、それで終わりにはしたくない。サッカーを通じて得た経験や、自分の強みを活かしていきたい」
分野を問わず挑戦を重ね、自分らしく進んでいくこと。それが彼女の選んだ生き方だ。
1部昇格と、未来へのゴールを目指して
NISHISATOアローレレディースは、昨シーズン2部昇格を果たした。より高いレベルでの戦いが始まった。フィールドプレーヤーとしての挑戦も、仕事との両立も、すべては未来への大きな一歩。
「1部昇格はもちろん、その先も見据えて成長したい。応援してくれる人がいる限り、挑戦を止めたくない」
淺井絵里香のサッカー人生は、これからが本番だ。